イトウは北海道や極東アジアの大河に生息するサケ科最大級の魚で、「幻の魚」とも呼ばれる希少種です。寿命は20年以上と長く、成長が遅いため環境の変化や乱獲の影響を受けやすい特徴があります。春には上流域で産卵を行い、稚魚は流れの穏やかな場所で育ちます。
本試料は、株式会社NHKエンタープライズ 様のご依頼で、NHK Eテレ「ギョギョッとサカナ★スター」の企画としてCTスキャンを実施しました。
「ギョギョッとサカナ★スター」番組HP:
https://www.nhk.jp/p/ts/P58QMGP4K1/
CTスキャンでは、頭部から規則的に並ぶ椎骨とそれを覆う大きな肋骨が、持続的に遊泳するための柔軟かつ強靭な体幹構造をつくり出していることが確認できました。大きく張り出した上顎骨と鋭い歯列は、獲物を一気に捕らえて逃がさない仕組みを備えており、魚食性に適応したイトウならではの特徴といえます。