サバは食用として広く親しまれる海水魚ですが、マサバはその中でも高級魚に分類されます。背に特徴的な模様があり、模様の違いで種類を見分けることが一般的です。外洋を回遊しながら生活する生態のため、非常に肉付きがよく力強いフォルムをしています。大きいものは50~60cm程まで成長しますが、今回はCTスキャンを行う上での作業性を考慮し、30cm程の個体を使用しています。
湿った状態でのスキャンのため、内臓や体表の微細な凹凸は表現されていません。一方で骨格の形状は鮮明に撮像されており、内臓を包むように伸びる肋骨と背びれに向かって上部に伸びる神経棘の他に、小骨と呼ばれる体の真横に伸びる肉間骨を観察することができます。 CTではヒレの周辺の組織が硬くなっている様子が伺えるなど、陸上生物と比べて骨は細いですが、力強いフォルムを支える構造が見て取れます。
今回はCTスキャンで得られた3Dデータを活用して、約1.4倍に拡大した展示用模型を作製しました。フルカラーの3Dプリンターを使用することで片面はカラー、片面は骨格が見えるデザインになっています。この模型は、「食べる」「体験する」「学ぶ」をテーマに魚を楽しむ施設「和歌山おさかな村」で見ることができます。
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