オオサンショウウオは、岐阜以西の本州・四国・九州の一部で、主に河川の上中流域に生息する世界最大級の両生類で、日本の特別天然記念物に指定されている動物です。体長は全長50cm~70cmの個体が一般的ですが、飼育下で最大150cmまで成長したことが確認されています。肉食で、目の前に現れた物体に何でも噛みつく習性があり、サワガニや両生類、淡水魚、水生昆虫など幅広く食べます。
今回のオオサンショウウオの撮影は、大分県宇佐市教育委員会 様からの依頼で実施いたしました。このオオサンショウウオは、宇佐市内の田んぼの用水路で死亡しているところを地元農家の通報を受け、宇佐市教育委員会が確保し、北九州市立いのちのたび博物館協力のもと冷凍保管されていました。全長約73cmとCTスキャン対象としては大型の部類であったため、CT生物図鑑では初めての大型機(ミリフォーカスCT)を使用した撮影になりました。
骨格は、以前CT生物図鑑に掲載した同じ両生類であるアカハライモリに近い骨格の形状を観察できます。一方で上あごの内側には鋭く発達した鋤骨歯があり、獲物を捕らえる能力の高さが窺えます。消化管の中には生前に食べた獲物の痕跡が残っており、甲殻類の爪の形状やカエルの両足の骨が映し出されています。
※このオオサンショウウオは、宇佐市教育委員会から死亡後の冷凍個体を一時提供いただいたものであり、許可を得て撮影・掲載をしております。