ゲンジボタルは水辺の近くに生息する、日本を代表するホタルの一種です。成虫の体長は約15mm前後で、やわらかな黒い体と赤い胸部が特徴的です。夜になると淡く揺らめく光を発し、幻想的な光景をつくり出します。最大の特徴は、おしりの先にある「発光器」です。化学反応によって光を生み出すこの器官は、オスとメスが出会うための大切なサインとして使われており、点滅のリズムにも意味があります。
CTスキャンでは、発光器の内部構造が詳しく観察できます。内部には光を反射する層や酸素を運ぶ気管が集まっており、密度の違いによって画像上でもはっきりと確認できます。特に反射層は結晶を含み、明るく映るのが特徴です。
一方で、腹部中央がへこんで見えるのは、死後に体内の水分が失われ、やわらかい組織が縮んだためと考えられます。とくに脂肪や消化器官などは乾燥しやすく、殻の中でしぼんでしまいます。