日本名は「チャグロサソリ」ですが、体色は殆ど黒色で艶やかな光沢を放ちます。尾の先にある毒針でコオロギ、イナゴなどの小さな獲物を捕らえ、前端のハサミで分解して食します。チャグロサソリの毒性はあまり強くないので、天敵への有効な攻撃にはならず簡単に捕食される場合も多いようです。主にマレーシアなど東南アジアの多湿地域に分布し、日本ではペットとしても飼育されています。ただし毒性の弱いサソリであっても、アナフィラキシーショック症状に陥る可能性もあるので飼育する場合は注意が必要です。
断層画像では体内の中央に通る消化器官を観察することができます。ふくらんだ尾節に毒腺があり、ここでペプチド成分を含んだ毒液が生成されます。今回は体全体とは別に、尾節のみをボクセルサイズ7μmで拡大スキャンしたことで、感覚毛の形状まで捉えています。また、3Dデータ上では腹部に「書肺」と呼ばれる8つの小さなくぼみがあり、酸素を送り込む役割を果たしています。