ハリセンボンは、フグ目・ハリセンボン科(Diodontidae)に分類される魚の総称で、棘はタツノオトシゴと同じで、鱗が変化したものと言われています。
見た目が近しいフグとの違いは、フグ科の歯は上下2つずつの4本に対し、ハリセンボン科は上下1つずつ2本の歯が生えています。両方とも食性は肉食性で貝や甲殻類、ウニなどの底性生物を捕食します。
敵に襲われると水や空気を吸い込んで体を大きく膨らませます。ハリセンボンの胃には取り込んだものを逆流させない特殊な弁の構造が備わっており、そこに水や空気を取り込むことで体を膨らませ、ヤマアラシのように棘を立てます。この棘によって身を守ることで、ハリセンボンには天敵が非常に少ないようです。
また沖縄ではハリセンボンのことをアバサーと呼び、棘を皮ごと取り除き、沖縄の伝統的な料理である「アバサー汁」として食されています。
棘は骨格と非常に近い写りになっており、密度の高い物質であることが伺えます。この棘の数をCT画像上でカウントした結果、この個体は368本の棘を持っていることがわかりました。
それらの棘同士の間には骨格のような構造は見られず、柔らかい皮膚で繋がっているようです。
また今回は膨らんだハリセンボンを撮影したことで、CT撮像時に体内に大量の水が含まれていました。水が詰まった箇所はX線が非常に通りづらくなるため、CT画像上は白く埋まったように写っています。